まだまだ残暑が残る秋の初めは、インドではお祭りが多い季節です。
9日間続く「ナヴラートリー」(ヴァイシュノーデービー女神など、様々な神様に祈りを捧げる)、10日目の「ダシャーラー」(善が悪に勝ったことを祝う)、ベンガル州を中心に祝われる「ドゥルガー・プージャー」(ドゥルガー女神への祈り)、「カルワーチョート」(夫の健康・長寿を祈る)に引き続き、10月28日には「ディワリ」が祝われます。
ディワリはヒンドゥー暦に基づき、7番目の月(カールティック月)の新月の夜に行われるため毎年日付が変わります。毎年10月下旬から11月上旬頃に行われ、インドで唯一、「全土」で祝われるお祭りです。
ディワリはインドの2大叙事詩のひとつである「ラーマーヤナ」に由来するといわれています。ラーマ王子と妻シーターは国を追放され、追放された地でシーターが悪の王であるラーヴァナに誘拐されます。ラーマはハヌマーン神と共に悪と戦い、シーターを救い、14年ぶりにアヨーディヤー(ラーマの故郷で古都)に帰ったといわれ、ディワリはその日を祝うお祭りとされています。
ラーマ王子が信仰していたといわれるドゥルガー女神を祈るドゥルガー・プージャー、ラーマ王子がラーヴァナを倒したことで悪が善に打ち勝ったことを祝うダシャーラー、その10日後がラーマ王子の帰国を祝うディワリです。
ディワリはヒンドゥー教徒の新年ともいえ、この時期インドは日本の年末のような雰囲気になります。当日に向けて家中の大掃除をし、壊れているところを修理し、ペンキを塗りなおしたり、部屋の中をディワリ仕様に飾ります。祈りの儀式に使う物、親戚や近所の人達に配るディワリギフト(お菓子やナッツ類などギフトを交換する習慣があります。)、贈り合うカード、当日着る新しい洋服、ミターイー(甘いお菓子)など、思いきり買い物をする人々で街中が活気付きます。ボーナスの時期ですが、会社から支給されたボーナスを使い果たしてしまいそうな勢いです。もちろんマーケットでは1年で一番お金が動き、商売人にとっては決算の時期でもあります。
皆が帰省する時期でもあり、列車や飛行機の予約はすでにパンク状態。早くから休みを取る人も多い為、オフィスの機能が停止してしまう企業もあるぐらいです。
ディワリの主役はラクシュミー女神とガネーシャ神ですが、この日は富と幸福の神様ラクシュミーが家にやってくるとされています。新月で月明かりもないこの日、ラクシュミー女神が道に迷わぬよう、家の周り中にディヤー(素焼きの器にギーを注いだ灯明)や蝋燭、近年は電飾など、明かりを一晩中灯しておくことから「光の祭」とも呼ばれています。家中の扉という扉を全て開け放して、ラクシュミー女神を迎えるべく準備を万全にします。
祈りの儀式などは家庭によって少しづつ異なるためか、新婚夫婦の初ディワリは特に大切なものです。姑から嫁に家のしきたりが伝わる日でもあるからです。子供が生まれた家の初ディワリも特別な意味を持っています。
ディワリの2日前は「ダンテーラス」。金物や銅製品を買うとよい日とされていて、鍋などの台所用品はこの日にまとめて買う家庭が多いようです。
少しディヤーを灯す前日は「チョーティーディワリ」(小さなディワリ)と呼ばれていて、南インドではこの日に北インドより一足早くディワリを祝うこともあるそうですが、ラクシュミー女神を特別に祈ることはありません。
当日は、お風呂に入ってから新しい服を着て、祈りの儀式をし、親戚中などが集まって特別な料理を食べ、ディワリギフトを交換し、近所に挨拶まわりをし、夜遅くまで賭けごとをして過ごすのが北インドの一般的なディワリの過ごし方です。子供たちや使用人はお小遣いをもらえるという日本のお年玉のような習慣もあります。もうひとつ、ディワリといえば花火です。日本では花火師しか扱えないような爆竹50,000連発や打ち上げ花火などを威勢よく打ち上げます。ディワリの日に花火を盛大にやればやるほど運気が向上するともいわれ、この日各家庭で花火に消費される金額は想像を絶するものです。
インド全土がお祭りムードになるディワリですが、近年では火傷問題で花火の種類が制限され、騒音と煙も問題視されています。テロ対策でディワリの臨時マーケットが開かれなかったり、伝統的なお祭りの楽しみが年々縮小されているような気がします。特に今年はテロが続いた為か街中は例年にまして厳戒体制で、銃を持って警備にあたる警察官がものものしいですが、伝統的なお祭りを祝う習慣はテロや時代の流れに左右されることなく、いつまでも盛大に続いて欲しいです。
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